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民法177条と不動産物権変動

  • 行政書士 森 政敏
  • 2016年3月18日
  • 読了時間: 3分

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 今日は少し春のような日でしたね。夕方あたりには強い風が吹いておりましたが、昼間はポカポカとして過ごしやすい日でした。

 さて、最近は法律の記事でも、特に財産権を取り上げることがよくありますが、今日も「民法177条と不動産物権変動」について書きます。

 まずは、民法177条の規定を参照しましょう。

 民法第177条

  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 以上のように、不動産を取得、喪失、変更した場合には、このことを第三者に対抗するためには、登記をしておくのが原則ですよという規定です。これは、一般に、不動産の「第三者対抗要件」と呼ばれています。

 この民法第177条の不動産物権変動の対抗要件と同様に、動産の対抗要件が定められている規定が民法178条ですが、ここでは、「動産の引き渡し」があれば第三者に対抗できることになっています。

 では、なぜ、不動産に関しては、登記が必要なのでしょうか。これは、不動産というものの所有者が外見上は明らかにならないからで、物権のように直接排他性を有する性質の権利は、これを公示していこうというのが「公示の原則」です。

 「公示の原則」と「公信の原則」とは異なる概念で、区別する必要があります。

 「公信の原則」とは、物権変動の過程で、その公示されている外見を信じて取引に入ってきた者を保護するためのもので、民法192条の即時取得に表れています。

 ちなみに、「即時取得」とは、①動産を占有する者を②善意無過失で③権利者と信じて④これと取引 をした者を保護するため、仮に取引の相手方が⑤無権利者であっても、動産の権利を取得できる制度です。

 上記のように、「即時取得」の対象となるのは、「動産」のみで、「不動産」は即時取得できないので、「公示の原則」と「公信の原則」はしっかりと区別すべきなのです。

 不動産取引をした際には速やかに登記を行うもので、登記の先か後かで様々な権利関係に影響をもたらすからです。

 不動産物権変動における対抗要件主義についてですが、その意味は、ある物権変動を社会的にも有効なものにするためには、それに対する公示方法を備えなければならないとする原則です。

 物権を勝手作り出すことは民法で禁じられていますが、民法には様々な物権が規定されていて、例えば、地上権、永小作権、地役権、抵当権などの物権も登記が必要です。

 そして、この民法177条の規定は、「第三者対抗要件」を規定したものなので、当然、当事者間では問題になりません。当事者間で争いが生じた際には、債務不履行や不法行為で処理し、結局お金で解決することになります。

 そこで問題となるのが、「第三者の範囲」です。次にあげるものは第三者には該当しません。

 1. 詐欺や脅迫により登記申請を妨げた第三者、他人のため登記申請義務を

  負うもの。

 2. 無権利の名義人

 3. 不法占有者・不法行為者

 4. 前主後主の関係にあるもの

 5. 背信的悪意者

 以上です。

 上にかかげた者に対しては、登記なくしても対抗できます。

 
 
 
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