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日本国憲法第29条の財産権の自由と「公共の福祉」

  • 行政書士 森 政敏
  • 2016年3月17日
  • 読了時間: 3分

狭山市での相続,遺言,法務なら森法務行政書士事務所

 先ほど更新したばかりですが、パソコンのメインのデスクトップが復活したので、パチパチと記事を書きます。

 それにしても、今日は埼玉県狭山市の私の事務所のある地域は暖かかったんですよ。風も無く、今日はマフラーなしで過ごせました。ネクタイは冬には温かくていいものですね。

 さて、日本国憲法29条について今回は記述したいと思います。

 日本国憲法第29条は、財産権を定めたものですが、一応引用しておきますのでご参照ください。法の学習では条文をそのまま読むことが大切です。

 第29条

  ①財産権は、これを侵してはならない。

  ②財産権の内容は、公共の福祉に適合するように法律でこれを定める。

  ③私有財産は、正当な補償の下に、これを公共の福祉のために用いること

   ができる。

 以上が引用です。

 この条文は、国民の有する自由権のうち、経済的自由権について定めたもので、財産権が国民にあり、私有財産制を制度として認めている点にも着目すべきです。もちろん、「公共の福祉」の文言が盛り込まれている点も要注意です。

 さて、日本国憲法第29条は、単に国民に私有財産を認め、財産権を認めただけの条文ではありません。第三項にもある通り、「私有財産は」とあり、「私有財産制度」を「制度」として認めている点が大切です。

 また、判例により判事されたものですが、法律で定めがない場合でも、直接の根拠として、本条第三項を用いることで、正当な補償を受けることができるともされています。

 財産権には、物権のほか、著作権や特許権などの知的財産権も含まれて、この日本国憲法第29条の保護を受けることができます。

 また、本条第三項は、公共の福祉のために私有財産を用いるもので、痛み分けではありませんが、みんなで損失と利益を共有しあうという平等原則の考え方によります。

 そして、「補償の要否」、つまり、どのケースでは補償を受けられて、どのケースでは受けられないかには、諸説あります。

 しかし、通説としては、①その制約が特定人に対するもので、②財産権の本質を害するような強度の制約 の場合には、「補償」が受けられると考えられています。

 例えば、建物を建てる際に、新たに建物を建てる場合には、敷地に接する道路の幅を緊急車両が通れるように、一定以上確保しなくてはならず、そのために、土地の一部をその地域を管轄する地方公共団体に差し出さなくてはならない、所謂セットバックの場合にはいかがでしょうか。

 セットバックの場合にも、「正当な補償」を受けられるのでしょうか。これに関しては、通説の「特定人」の要件は満たしますが、「財産権の本質を害するような強度の制約」には当てはまらないので、補償はないとされます。

 敷地(=土地=物権=財産権)の端の一部がどれくらい、その土地にとって、本質的なのかにもよりますが、ほとんどのケースでは、その程度の制約は受忍限度の範囲内であり、補償は受けられないと考えられます。

 それでは、本条第三項の「正当な補償」とは、どの程度のものなのでしょうか。

 「正当な補償」を語るときに、二つの説があります。これは、判例をさまざまです。

 「完全補償説」と「相当補償説」ですが、これは読んで字のごとく解釈していただいて構いません。通説的に言えば、「完全補償説」を採用しますが、判例はさまざまです。

 事例事例で、色々な判例があるので、参照する機会があったらご参照ください。

 以上が、日本国憲法第29条の内容を簡単にご説明申し上げました。近く、物権的請求権についての記事も書きますので、お待ちいただければ幸いです。

 この点については、様々な判例があり、主に「

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