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セーフティーネットとしての憲法第25条

  • 行政書士 森 政敏
  • 2016年3月30日
  • 読了時間: 4分

 みなさんこんばんは、今日も読んで下さって誠にありがとうございます。いつもいつも更新をするたびにいらっしゃって下さる方がいらっしゃるのであれば、それは、日々更新する励みになります。

 実は、もう一つのアメブロを運営してますが、そちらも思いのほか読んで下さる方が多いです。非常にありがたい限りですね。

 さて、東京の桜の開花も今週末あたりが満開になるとか、ならないとか、そんなニュースを聞いた覚えがあります。

 埼玉も数本は満開でした。私は自営業ですが、会社だと「きっとお花見にみんなで行くんだろうな」と少しうらやましい思いです。

 今日は日本国憲法第25条絡みの話をしたいと思います。日本国憲法第25条と言われたときに「あれ?」と思った方は是非、この記事を読み進めてください。

 まずは、例のごとく、条文の引用からはじめます。「初心忘るべからず」というのは、どのお仕事や勉強、分野にもあてはまりますが、法学の分野もそうです。

 「まずは、生の条文を読むことの大切さ」というのが、初心というものです。判例でたまに、「原文ママ」という言葉が出てくることもありますが、これは、「裁判官の書いたママ」という意味です。

 日本国憲法第25条

  ①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

  ②国は、すべての生活部分について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の

   向上及び増進に努めなければならない。

 以上引用でした。

 日本には、戸籍というものがありますよね。昔から日本には家族制度というものがありましたね。この家族の見取り図が戸籍です。

 戸籍を取ってみると、その人の人生が全てわかるような気がします。しかし、戸籍法の定めはまだ読めても、戸籍謄本やら原戸籍などを読むのは面倒ですね。だから、相続は専門家に任せた方が安全なんです。特に、遺産分割協議をするときはです。

 そう、戸籍は、家族制度が昔からあり、その名残なのです。この家族制度をどうするかは、明治時代に大変活発な議論がなされました。ドイツ法を参考に民法を作るのか、フランス法を参考に民法を作るのかが争われましたが、フランス法はあまりにも、自由主義的で、個人主義的なので、日本の家族制度とはなじまず、結果、ドイツ法を参考に民法が作られました。「民法出でて忠孝滅ぶ」という言葉は、家族制度を堅持しようとした学者の言った言葉ですね。

 原則的には、日本は、家族制度があり、家族のつながりが密接なので、家族同士は互いに助け合わなくてはならないというのが、「私的扶助の原則」です。

 「私的扶助の原則」下においては、親族間の扶養義務が課されています。これが民法第877条で規定されています。

 民法第877条

  ①直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

  ②家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、

   三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

  ③前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判

   所は、その審判を取り消すことができる。

 以上民法の引用でした。

 上記のように、「私的扶助の原則」が具体的に立法されているわけですね。しかし、家族観ではどうにもならないほど、金銭的に困窮して、困ってしまって、もう死ぬしかないと考える人がでてくることも想定できます。

 そのような人を支えるのが、日本国憲法第25条の生存権の規定なんですね。日本国憲法の制定史的に言えば、今の日本国憲法のひな型は、ハーバード大学の学生が起草したとか、そんな記憶があり、また、日本国憲法第25条を何としてでも憲法に成文化したいと尽力したのは、共産党でした。

 そんな、日本国憲法第25条の規定を受けて作られた法律が生活保護法であったりします。25条及びこの生活保護法が国民生活の最後のセーフティーネットとなります。

 家族間でどうにもならない金銭的問題は、遠慮せずに行政に頼っていいというのが、日本国憲法第25条の趣旨です。不正受給は決して許されませんが、本当に困っている人は、使っていい制度なんです。

 制度を作るということは、政策を作るということで、政策は、現実と理想のギャップを埋める作業の繰り返しです。制度として存在する以上は、生活保護法は「理想」を追い求めて作られた法律なんです。

 もちろん、お困りになったら、森法務行政書士事務所にもご相談くださいね。

 
 
 
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