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占有権と物権的請求権 (民法総則編)

  • 行政書士 森 政敏
  • 2016年3月18日
  • 読了時間: 3分

狭山市で相続,遺言,法務なら森法務行政書士事務所

 今日は少し民法について考えたいと思います。なぜ、今、民法なのかと申しますと、民法の大改正が近くされるからです。

 現行の民法をしっかりと頭に入れておけば、改正されても、変わった部分を簡単に見るだけで内容は頭に入ります。現行民法に関して知識が曖昧な方は、どうか、今一度民法に目を向けてやって下さ。い

 さて、今回の表題は「占有権と物権的請求権」です。まず、申し上げますが、「物権的請求権」に関する条文は民法上にはありません。

 しかし、民法は、①占有権を認めている②民法202条で「本権の訴え」を定め、物権的請求権の登場を示唆している という点で、一般に認められるのが、この「物権的請求権」なのです。

 まず、「占有権」ですが、占有権とは、「実際に権利があるか否かは別として、現にその目的物を占有している状態を尊重して認められる権利」です。

 上記のように、実際の権利とは関係がないので、他人のものを占有している人にもこの占有権は認められます。

 占有の態様には、「自己のためにその目的物を占有する」という「自主占有」と「他人のためにその目的物を占有する」という「他主占有」とが存在します。

 そして、この占有権の移転については、「現実の引き渡し」「簡易の占有移転」「占有改定」「指図による占有移転」があり、ここで分かりやすいのは、「現実の引き渡し」と「簡易の占有移転」ですが、「占有改定」と「指図による占有移転」が少しわかりずらいですね。

 「占有改定」とは、「占有状態を管理している代理人が以降は自己のために占有をする意思表示をすることで生じます。」

 つまり、自分の手元にある目的物を誰かのために占有していた(他主占有状態)代理人が、以降は自分のために占有する(自主占有)といった場合です。

 そして、「指図による占有移転」は、「誰かのために占有している目的物の占有を、本人からの指図で、以降は他の他人のために占有させる。」というものです。

 以上の行為の効果は、「占有の移転」で、占有権を主張できるようになったり、時効取得できるようになったりと色々とメリットがあります。

 物権的請求権との絡みで、占有している人の主張できる権利について触れます。

 「占有の訴え」「占有保持の訴え」「占有保全の訴え」の三つが、民法197条から199条までに順番に規定されており、占有状態にあるのだから、それに基づいて、占有が奪われた際に取り返したり、第三者の行為により占有状態を保持するのが難しくなってきたような場合に、その第三者に当該行為をやめるよう請求できたり、また、将来そうなりうる場合に、予防又は損害賠償に向けた担保を請求できたりします。

 民法の197条から199条の定めがあり、かつ、民法202条で「本権の訴え」が用意されていることを根拠に、物権的請求権は認められているのです。

 それでは、物権的請求権とは何かということですが、3つの権利があります。その3つが「物権的返還請求権」「物権的妨害排除請求権」「物権的妨害予防請求権」です。

 言葉のニュアンスからもわかるように、「占有の訴え」「占有保持の訴え」「占有保全の訴え」にリンクします。つまり、両訴えは、同じ効果をもたらします。

 仮に、所有権に基づいて、不動産甲を所有していた間に、その隣接地の乙から、大きな看板プレートが飛んできて、その甲の一部に落ち、甲を完全には使用できなくなった際には、「物権的妨害排除請求権」を主張することができるといった感じです。

 この際の費用負担の話もしたいのですが、今回はこの辺で終わりましょう。お疲れさまでした。

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