タケノコが旬なのと、山菜・タケノコ泥棒にならない判断方法
- 行政書士 森 政敏
- 2016年4月25日
- 読了時間: 4分
今日は、スーツでは汗ばむほどと申しますか、ムシムシと湿気が高かった気がします。
熊本もこんな感じなのかなと思うと、避難所でこれを体験させられて、そんな窮屈な生活を強いられている被災者のみなさまのご心中察し申し上げるにも程があります。
早く、少しでも快適な生活を遅れるように復興が進むように、祈ってやみません。
さて、埼玉県の狭山市、殊に、柏原という、私の事務所と自宅がある地域では人と人との繋がりが密な地域であるといえます。
そんなこんなで、ご近所さんから昨日、大きなタケノコをいただき、今夜の夕飯はタケノコご飯でした。
やはり旬のものはおいしいですね。
特に私はタケノコが好きなのでなおさらそう感じました。
しかし、こんなタケノコ一つとっても法律的に考えると色々と問題があったりなかったりします。
山菜がおいしかった季節や、自然薯が美味しかった季節、そして、タケノコのおいしい季節これらは、天然の果実です。
そして、この日本のどこかの土地の上にあるいは下にあるわけですね。
当然、土地には所有者がいます。
日本のほとんどすべての土地には権利者がいます。
ここまでお話しすれば、感の良い皆様はピンと来ていると思いますが、この土地の権利者と山菜や自然薯、そしてタケノコはどのような関係にあるのかが、問題です。
民法では、土地の付着物はその土地の所有者の所有物となります。
この土地の付着物には、山菜やタケノコ、自然薯も当然含まれてきて、その土地の所有物ということになります。
それでは、これらを権利者の許可なくして勝手に持って行っちゃう行為は、「タケノコ泥棒」の誹りを受けそうですね。
どうでしょうか。
「タケノコ泥棒」は本当に「泥棒」として、刑事罰が科されるのでしょうか、また、民法上の不法行為に当たり賠償請求を受けるのでしょうか。
この点は、みなさんの感覚でイメージすれば正しい答えが導き出せます。
法律は道徳や倫理、一般市民感覚で、判断すれば、おのずから正しい答えがでるのです。
そして、上記問題の答えは、「違法」となる可能性は極めて低いというのが答えです。
刑事上罰せられないのは、確かに、窃盗罪の構成要件である、「他人の財物を窃取」したものになりますので、形は違法行為ですが、実際に「罪」として罰せられるには、いくつかの段階があり、それら全てを満たして初めて、「罪と罰」が生まれるわけです。
刑法上の犯罪とは、「①構成要件に該当し、②違法で、③可罰的で、④有責な 行為」です。
つまり、①には該当するが、②の違法性がないのが、「通常」のタケノコ掘りや山菜採りです。
量やその性質によっても違います。
ただ、山菜採り程度の軽いものであれば、違法性が阻却されるわけです。
だから刑事上は罰せられない。
民事上は、違法行為とならないように、条文がちゃんとあります。
みなさん、日本史の勉強で、「村八分」という言葉を聞いたことはありませんか。
これは、地域での自治に反したものに科される地域的なペナルティで、「村に一個の井戸を使わせてもらえなくなったり、竹やぶで真竹を採れなくなったりする」ものです。
これは、「地域の住民が常識の範囲で、多少は自分の土地を使わせてあげたりする」という「入会権」が利用できなくなるとも言えます。
江戸時代に入会権という言葉があったか否かは定かではありませんが、確実に民法には「入会権」が規定されていて、「共有の性質を有する入会権は、その地域の慣習による」とされています。
つまり、地域の常識の範囲内であれば、その土地を自由に使えることもあるのです。
このように、「山菜採りの季節がやって参りました」「地域の住民は山菜摘みに勤しんでいます。」などの報道ができる間は、まだまだ、入会権を主張できます。
地域の常識は法なのです。
慣習法という分類に入ります。
成文として法ではないが、決まりとしてなんとなく漂っていて、みんなが暗黙のうちに守っているのが慣習法です。
タケノコ一つとっても、法律が絡んでいるあたり、非常に、日本の法治化が進んでいる証でもあります。
でも、原則は、道徳で、法は後付けのものであることは、納得のいくものです。
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